女の子だから、妹だから、お母さんだから…私たちは「●●だから、自分ばかり主張せずに我慢しなさい」という刷り込みを受けて、自分の気持ちや言い分を押し隠すようになります。私もそんな少女期を過ごしました。けれど心の中にはモヤモヤを抱え続けました。
大人になってアサーションという自分も相手も大切にするコミュニケーションの技法に出会いました。その根底には誰でも自分のことを適切な形で主張する権利を持つのだという当然な、しかし多くの人が行動に移すのは難しいと感じる理念がありました。
最初は戸惑いました。が、そんなときでもアサーションの理念と、「今は主張しない自分を選んでもいい」という言葉にいつも救われました。そして、職場で同僚に思い切って伝えた一言で、3ヶ月間悩んだことが1分ですっきり解決してしまうという経験をして、やっと「やった、これがアサーションだ」と腑に落ちたのです。
私が同僚に伝えた言葉は「ね、作業台に物が置きっ放しだから片付けようか」でした。同僚から帰ってきた言葉は「よかった、私も気になってたんだ！」でした。3ヶ月も「気まずくなりそう」とか、「後で陰口を言われそう」と悩み、同僚のことを嫌なヤツだと思い込んでいたので拍子抜けしました。しかし、伝えたことで同僚も同じ気持ちでいたことに気づけ、これを期になんでも相談し合える関係になりました。
いつもこんな風にうまくいくわけではありませんが、今では心に悩みを溜め込まず、小出しに発散しています。アサーションは心の悩みの予防策なのです。

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